イギリスの名窯ウェッジウッドが誇る白色について
ジョサイア・ウェッジウッドは陶芸家であり企業家でもありました。イギリス陶工の父、と呼ばれていたジョサイアは、若くして独立。イギリスの土で、ドイツのマイセンのような白い焼き物が作れなかったことから、中世以来の伝統を受け継ぐクリーム色の陶器の改良に着手しました。
シャーロット王妃より女王御用陶工の特権をもらったことから、「クイーンズ・ウェア(女王の陶器)」と名付けました。
その後、ウェッジウッドを代表することになるジャスパーウェアを開発し、古典美の再現を目指し、その一方で窯業技術や製造の合理化にも取り組みました。
また職人たちの働く環境や家内工業だった窯業を、初めて組織として確立した人物でもあります。
それ以外にも彼のビジネスセンスは革新的なもので、ショールームなるものをロンドンに開設したり、商品のカタログを作ることで在庫を持たず発注を受けてから製造にかかる、という効率的な仕組みへと変えました。
そして息子であるジョサイア二世の時代には、原料の50%以上が牛の骨(骨灰)となるファインボーンチャイナ(Fine Bone China)が作られるようになります。
当時のイギリスは、新興階級が台頭しはじめる時代へと突入しており、デザイナーの採用や、新しい取り組みは彼らに受け入れられることになります。
ちょうど定着し始めていた紅茶のティーセットなどの販売も飛躍的に伸びました。
イギリスではウェッジウッドをはじめとする様々な窯のボーンチャイナ、ストーンウェア、硬質陶器が存在するのですが、これは自分たちのスタイルを自らで切り開いていく陶工の精神が、その国に根付いているがゆえのことではないかと思います。
また誰もが気軽に使える食器をという考え方が、バリエーション豊かな焼き物を輩出しつづけるものなのかもしれません。
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