陶器って何
食をサポートしてくれている私たちの暮らしに欠かせない器やガラス。
毎日の食卓のシーンで登場する彼らの呼び名は・・きっと「お皿」「コップ」ではないでしょうか。
今回は私たちがお皿として毎日使っている(であろう)、一番なじみがある「焼き物」について触れていきます。
まずは思い浮かべてみてください。自分の持っている器たちを。
棚の中にある器。お茶碗、取り皿、カレー皿、手塩皿、いろいろあると思いますが
おそらく大半の方が持っている器は焼き物です。
焼き物にも種類があるのですが、では自分の器がそのどれに当てはまるのかご存じでしょうか。
これまたおそらく、大半の方が持っている器は「陶磁器」と呼ばれるものです。
「陶磁器」という言葉、なじみがあるようでないような・・・
陶磁器は陶器と磁器の総称です。「つちもの」「いしもの」と呼ばれることもあり、つちものは陶器、いしものは磁器を指します。
どちらも土を固めて焼いたもの、ということはなんとなくはイメージできる。
ではそもそも陶器と磁器って何が違うのか。
簡単に答えられそうな質問なのですが、意外にこの質問「えっ・・・」と詰まることがあったりします。陶芸をやっている方でもなかなか説明しにくくて・・・と言っているのを耳にしたこともあります。
どちらも材料は土なら、この2つの違いはなんなのか?
一般的に言われている陶器と磁器の違いは「原料」と「焼く温度(焼成温度)」です。
陶器は酸化鉄のような金属を含んだ陶土で1200℃、磁器は石を細かく砕いたものを粘土に加え1300-1400℃で焼きます。
ふむふむ。性質的な違いはわかる・・でもこの2つの違いを知ったところで、日常生活で陶器と磁器の区別をするなんてちょっと非現実的。
「音」「透過性(分厚さ)」「吸水性」であればどうでしょう。それなら家でできそうです。
まず音。器に人差し指の爪を軽く当ててみてください。デコピンみたいにはじくのはよろしくないので、人差し指オンリーをおススメします。(「お、この人ただ者じゃないな」ってことになるかも)
陶器は指ではじくと少し鈍い音がするのに対して、磁器は高い澄んだ打音が出ます。
次に透過性。光に当ててみてどれだけ透けるかです。
一般的には、陶器は分厚いため光を通しにくく、磁器は薄いので光を通しやすい、とされていますので、お皿を光にかざしてみてわかるものもあります。
ただ土もの(陶器)でも、極限まで薄く作られた器もあるので「薄いものが磁器」とは言い切れないのでご注意を。
吸水性は水を吸いやすい器かどうか、です。
石を砕いて作った磁器は目が詰まっているので染み込むということはありません。
比べて陶器は粘土質の土を使うので吸収性が高いのです。一目でわかるものもあれば、洋食器の磁器のような陶器もあるので、少し難易度が高いかもしれませんが、和食器であればわかりやすいかもしれません。
和食器を買ったときにお店の人に、使い始める前や油ものを入れる時には、お湯(またはお水のどちらか。場合によると思います)に漬けてくださいね、と言われたことありませんか?そういわれたものは陶器である可能性大です。
陶器は土と土の間に隙間がたくさんありスカスカな状態です。そんな状態に油ものや濃い飲み物を入れるとどうなるか・・・器にシミができちゃって取れない・・なんてことも。
そのスカスカの状態に水分を含ませて、その隙間を埋めてあげてから使ってくださいね、というお願いなのです。
専門家や器好きではない限り、お皿やコップと向き合うことはあまりないとは思いますが、彼らにも性質や個性があり、知ると意外に奥が深いんです。
器やガラスにかかわるスピンオフ的なお話しもあったりするので、そんなアナザーストーリもご紹介していければと思います。
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