白い器を選ぶということ
器を選ぶうえでの楽しみの一つはデザインや色遣い。
目の覚めるような鮮やかなものから、すっきりとした白まで、空間、家具、自分が持っているほかの器を想像しながら、その仲間に加われる新たなメンバーを探すと時間は結構ワクワクする時間だったりします。
これから食器を集めようとされている方。何を買ったらいいいの?と迷うのであれば「白い器」を選択肢の一つに取り入れてみてはいかがでしょう。
白はどんな時でも基本の一色です。食器もしかり。
レストランで、とっても素敵な白の器で食事が出てきたことはありませんか?
「白い器」は定番中の定番であり、ごまかしがききませんので、料理を最も映えさせられる色として、プロの料理人の方もよく使われています。
また白い器は、和洋中どの料理にも合わせやすいので、持っていても決して邪魔にならない器です。あとから買い足しをしたり、色柄とコーディネートをしたりということもできちゃいますので、持っていないのであればおススメです。
同じでも違う
白は一見するとどれも同じように見えるかもしれません。でも前回「ボーンチャイナ」の回でもお話ししましたが、白にも様々な色が存在します。
ボーンチャイナの乳白色、青みがかった白、目の覚めるような白など、メーカーごとにその白さが異なるため、そのメーカーのこだわりを白磁が教えてくれることもあります。
原料をどのような割合で配合するのか、含まれている不純物をどの程度取り除くか、そういったことが白という色に反映されるのです。
もちろん、白くない=不純物が入っている=品質が良くないというわけではありません。
それぞれの白はメーカーがこだわって生み出している白さだということを頭の片隅に置いておいてください。きっと自分好みの白が見つかるはず。
さて白と一口に言っても、ツルツルした無地からレリーフ(模様)などの装飾が入ったものなど、バリエーションはさまざまです。
たとえば、日本で人気のある「白」を代表する洋食器の一つ。イタリア生まれの陶磁器メーカー、リチャードジノリが作る「ベッキオホワイト」というシリーズをご存じですか。
リチャードジノリが作る「ベッキオホワイト」
白を基調とし、縁に調高いバロック模様があしらわれていることから、美しさと実用性を兼ね備えたシリーズとして、一般家庭をはじめプロの料理人にまで幅広く愛されています。
なぜこのシリーズが幅広い層から人気があるのか。
つるりとした白磁にお料理を盛り付けてみても、お料理を選ばないはずの白なのになぜか決まらない、結果、そのお皿をあまり使わなくなる、ということありませんか。
人気の理由の一つはリム(縁)にあり?
リムというのはお皿の周りの縁のことを指しますが、このリムと中心がわかりやすく分かれている=盛り付けがしやすい=目線もお料理にいきやすいので映える、のではないでしょうか。額装があることにより中心の作品が締まって見える、映える手助けをしてくれているのだと考えると、リム最強です。あったほうが「映え」ます。
ただし量をたくさん入れたいのであれば、盛り付けられる面積は縁なしより当然狭いので不向きです。
少し柄やレリーフが入る、そのちょっとした違いが、器や料理の印象をガラリと変えます。
(魯山人先生、「食器は料理のきもの」とはよくおっしゃったもの。さすがでございます・・・)
自分がどんなお料理をよく作るのか、などのイメージをしながら選んでみてください。
白さの秘密について掘り下げていくと、素地の話やそれぞれの国の歴史にまで話が及び何時間でもお話しができそうです。
ライフスタイルに合う白をみつけてください。
アナザーストーリーについては、またどこかの機会に掘り下げていければと思います。
最後に一つ。白さが際立つ分、水垢や傷から入り込んだ汚れは目立ちますので、そうそう傷つくことはないものの、研磨研材性の強いスポンジなどを頻繁に使うと、表面に細かい傷ができ、ツヤがなくなる、ということにもなるかもしれませんのでご注意ください。
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