お皿に円形が多い理由

食器

お店の陳列棚に並ぶお皿たち。いろいろな形のお皿がありますが、それでもほとんどのお皿が丸いはず。

丸さの魅力はいろいろありますが、日常使いの「やりやすさ」は大きなポイントの一つ。

使いやすい、重ねやすい、収納しやすい、洗いやすい、持ちやすい、盛り付けしやすい。

四角のように角がない分、当たるところが少ないので角がぶつかって割れるという心配はあまりありません。

~作り手側の裏事情~

実は作り手さんにとっても丸は一番作りやすかったりするのです。

しかもお安く(きゃっ)・・

なぜ四角に比べて作りやすく低コストで作れるのか。製造の工程に理由があります。

焼き物を作るときに登場する、轆轤(ろくろ)という機械をご存じですか。

陶芸体験などでも使われる、くるくる回っているやつです。

その機械に粘土を乗せ、手を添えながら形を作っていきます。

(大量生産の場合は、手の代わりに「鏝(こて)」というものを押し当てて形を作りますが、要領は一緒です)

くるくる回っている轆轤(ろくろ)に、20㎝のお皿だったらこの分量の粘土をのせて、これくらいの圧で押し当てて・・・というように丸いお皿はテンポよく成型ができます。

実際に海外の工房で成型の職人さんの姿を見るとものの1分くらいで一枚のお皿を

さらっと成型してしまいます(皿だけに・・・)。

では四角いお皿はどうやって作るのか。四角いお皿は轆轤では角が決まりません。なので「流し込み」という方法を使います。イメージしやすいのは、セメントを流し込むような感じです。石膏型に少しずつ流し込み固まったら石膏型をはずす、という感じです。

(余談になりますが、パーツが多いアイテムほどそれぞれのパーツを石膏型に流し込み、固まったパーツを本体に取り付けていくということになります、ポットの口や、人形(フィギュリンと呼びます)などは、この要領でいくつも取り付けていきます)

丸いお皿は1枚1分かからずに作れるので短時間で何枚も製造が可能ですが、四角いお皿や変形の皿はそれができません。同じくらいの土の量だとしても、かかる手間がどれくらいかかるか、それが買うときの価格に反映されます。

ちなみに。小さいサイズなのに高いお皿もあります。サイズが小さいからといって安いのかというと、そうではないことがあります。プラモデルの世界で考えるとわかりやすいかもしれませんが、小さいと細かい手作業が必要になったりします。

大きなものよりかえって作るのが難しくなることもあるので、小さいほうが高かったりすることもあるのです。

~丸がもたらす食への効果~

丸いお皿に盛り付けられたお料理。一面に敷き詰められたお料理(も時にはありますが・・・)ではなく、必ずお皿に余白が生まれます。

余白の美を感じながら、お料理を愉しむことができる、丸い形が好まれているのはそういう理由もあるのかもしれません。

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